矯正治療について

矯正治療

矯正治療とは、「悪い噛み合わせ」や「不適切な歯並び」を治療することを言います。具体的には矯正装置を用いて、歯に一定の力を加えていきます。そのことで人為的に正しい位置まで歯を動かしていき、上顎と下顎の歯並びを整え、正常な噛み合わせにしていく治療になります。当院では成人矯正と小児矯正を行っています。

歯並びが悪いと精神面に影響も

歯並びや噛み合わせが悪いままだと、歯がよく磨けないだけでなく、虫歯や歯周病になりやすいほか、よく噛めないために胃腸などにも負担がかかりやすくなります。また、顎関節症や片頭痛、肩こり、腰痛などを招くこともよくあり、精神面に悪影響が及ぶことも少なくありません。

そのため歯並びを整える、いわゆる矯正治療を行うことは、心身の健康につながり、また見た目が美しくなる、正しい発音ができるようになるなど、様々な良い影響がもたらされることが期待できます。

成人矯正について

成人矯正では、永久歯が生え揃い、身体の成長が止まった状態で行いますので、顎の形を整えるような矯正は行えません。そのため歯並びを整える治療が中心になります。なお、成人矯正については、年齢制限はありません。歯と歯茎が健康であれば、いつでも始めることができます。

小児矯正について

小児矯正は、顎の骨のバランス・大きさを整える「1期治療(骨格矯正)」と永久歯が生え揃い、顎の成長が終わってから歯の位置を整える「2期治療(歯列矯正)」の2段階治療になります。

1期治療は、顎の骨がまだ軟らかく、これから成長していくお子様(3~12歳頃)に限り可能な治療法で、ある程度顎の成長をコントロールしながら矯正を行うことができます。そのため1期治療で顎の骨を整えることができれば、永久歯がきちんと並ぶ土台ができるようになるので、2期治療を必要としないケースもあります。

なお2期治療では、ワイヤーやブラケットなどによる矯正を行います。矯正治療が終了したら、保定装置(リテーナー)によって「後戻り」を防ぎます。

当院で行う主な矯正治療

ワイヤー矯正

ブラケットとワイヤーを使った、いちばん標準的な矯正法です。歯の表面(または裏面)にブラケットという装置を取り付け、そこにワイヤーを通して力を掛けることで、少しずつ歯を動かしていきます。
ワイヤー矯正は歯にブラケットを付けなければならないため、見た目に影響しかねませんが、ブラケットには金属以外にも、透明なプラスチックやセラミックでできたもの(クリアーブラケット、セラミックブラケット)もあります。またワイヤーにも複数の種類があり、審美性に優れたタイプもあります。

マウスピース矯正

透明なマウスピースを歯列に被せて歯を移動させる、最新の歯列矯正法です。歯型を取ってマウスピースを製作し、これを装着することによって、トレー1枚につき0.2~0.5mmずつ歯を動かしていきます。
従来のブラケットやワイヤーを使用する矯正装置と違い、装着しても目立ちません。自身で着脱可能なのが大きな特徴で、食事も歯磨きもいつも通りに行えます。使用するマウスピースの数は、難易度などにより異なってきますが、1人あたり大体20~60個です。

床(しょう)矯正

取り外し可能な、入れ歯に似た形状の装置(床装置)を使った矯正法です。床装置にネジが付いていて、そのネジを回して顎を拡げたり、歯を動かしたりして歯並びを整えていきます。
床矯正は歯を無理やり動かすのではなく、顎を拡げていくので痛みがほとんどなく、治療後の後戻りの心配もまずありません。

ムーシールド

反対咬合(いわゆる受け口)を改善する装置です。乳歯列期に治療を行うことにより正常な顎骨の成長発育を促し、永久歯の正常な生え変わりをもたらします。日中1時間と夜間の睡眠中に装着すると、舌や口腔周囲筋の状態が整えられるため、反対咬合が改善します。

トレーナー矯正

トレーナー装置という軟らかいシリコンで作成したマウスピースを使用しながら、呼吸や、口の周囲にある筋肉の習慣を修正していく矯正方法になります。
マウスピースは、お口の状況に合わせて最も適したものを選びます。取り外し式なので、起きている時の1時間以上と、寝ている時に嵌めて使います。使い続けることで、少しずつ呼吸や口周りの筋肉の動きが変わっていき、自然と歯並びも整ってきます。

インプラント矯正

インプラントの技術を活かした矯正方法で、矯正専用に開発されたインプラントを顎の骨に埋め込み、このインプラントを支点(固定源)にして、動かしたい歯を引っ張ることにより歯並びを整えていく方法です。
この方法であれば、歯がスムーズに動いてくれるので、治療期間を大幅に短縮できます。また抜歯も最小限に抑えることができます。

部分矯正(MTM)

動かす歯を1本~数本に限定して行う矯正治療です。通常の矯正では多くの歯を動かすため、治療に2~3年の治療期間が必要になります。しかし、部分矯正では、動かす歯を限られた数に絞って矯正するので、補綴治療(歯の欠損をクラウンやブリッジなどの人工物で補う治療)を組み合わせれば、半年くらいで症状を改善できます。
ただし、部分矯正は、あらゆる症例に適応するわけではありません。しかし、短期間で施術することができ、補綴治療やインプラント治療を行う際に、歯の位置や傾斜など歯並びの一部を事前に修正する場合や、隙間が開いている前歯を移動させる、傾いている歯をまっすぐにする、などの場合に効果的です。